COVID-19が教育に与えた影響と学びとは:グリーンスクールの事例
新型コロナウイルスの感染拡大は、多くの業界に影響を与えました。教育も例外ではなく、多くの学校や教育者にとって非常に厳しい年となりました。しかし、コロナによって新たな教育の機会も生まれました。教育界はどのように変化したのか。グリーン・スクール・インターナショナルのクリス・エドワード氏にお話を伺いました。
まずは、グリーンスクールについて教えてください。
クリス : 「グリーンスクールは、10年前にバリ島に創立されました。この学校は、持続可能な世界を創る人を育成するために設立されました。グリーンスクール・ニュージーランドは、1年前に開校しました。ニュージーランド校は、バリの校舎を訪問し感銘を受けたご夫婦がニュージーランドにも導入したいと設立しました。グリーンスクールの特徴は、ユニークなカリキュラムにあります。カリキュラムは、「再生」という考えに基づいて設計されています。持続可能性、システム思考、心身の幸福度の3つのレンズを通して構築されています。すべてはサステイナビリティにつながります。非常に先鋭的な教育プログラムです。
どんなカリキュラムに基づいて授業を行っているのでしょうか。
クリス:「まず、哲学的な部分を説明したいと思います。それは、サステイナビリティ(持続可能性)の意味です。多くの人にいえることですが、何が自分を幸せにしてくれるのか、何が自分を成功に導いてくれるのかという考えを再考する必要があると考えています。なぜならば、多くの人が物質的な成果を追い、物を大量に所有し、自分がどれだけ持っているかを他人に見せびらかすことを幸福や成功の基準ととらえている状態では、持続可能性を達成できないと思うからです。グリーンスクールは、従来の考え方、特に欧米や日本のような先進国の考え方を再考するよう人々に問いかける活動をしています。プログラムの面では、グリーンスクールではまず試験がありません。先生に言われたことを2年間覚えていて、それをそのまま回答しなれば評価されない、というようなプレッシャーは一切ありません。私たちがやりたいことは、21世紀、またそれ以降の時代にふさわしいプログラムを作ることです。協調性が高く、自然をベースにしています。多くの時間を外で過ごすことにも重点をおいています。保護者の方は、いつでもキャンパスに来ることが可能です。時間割はありますが、「時間割」という言葉は使っていません。私たちはカリキュラムを4つの分野に分けています。そのうちの1つが「ウェルビーイング」です。野外での教育要素もあり、これはコミュニティとの関連性を養います。もうひとつは、「マインドフルネス」で、自分と他者の関係性を反映して自分を客観視することを学びます。また、「ラーニング・ジャーニー」とよばれる学期ごとのカリキュラムがあります。数学、生物、歴史、地理などの既存の教科学習は、すべてこのラーニング・ジャーニーの10週間のテーマに沿って行われます。「今から歴史の授業をはじめます」と言うのではなく、歴史の授業は、ラーニング・ジャーニーの学習の中で学びます。川や山、雲などについて学ぶこともあるでしょう。何を学ぶかということよりも、その内容を学ぶために身につけたスキルの方が重要である、と考えています。」
カリキュラムの詳細を教えてください。
クリス:「まず、哲学的な部分を説明したいと思います。それは、持続可能性の意味です。多くの人が、何が自分を幸せにしてくれるのか、何が自分を成功に導いてくれるのかという考えを再調整する必要があります。なぜならば、多くの人が物を追いかけ、物を溜め込み、自分がどれだけ持っているかを他人に見せなければならない状態では、持続可能性を達成できないと思うからです。グリーンスクールは、従来の考え方、特に欧米や日本のような先進国の考え方に挑戦するパパを募る活動の一環です。プログラムの面では、グリーンスクールではまず試験がありません。先生に言われたことを2年間覚えていて、それをそのまま返さなければならない、というようなプレッシャーは一切ありません。私たちがやりたいのは、21世紀以降の時代にふさわしいプログラムを作ることです。協調性が高く、自然をベースにしています。多くの時間を外で過ごすことが可能です。地域に根ざしています。保護者の方には、いつでもキャンパスに来ていただきたいと思っています。タイムテーブルはありますが、「タイムテーブル」という言葉は使っていません。私たちはカリキュラムを4つの分野に分けています。そのうちの1つが「ウェルビーイング・コンポーネンツ」です。野外教育の要素もあり、これはコミュニティとの連携に関係します。また、マインドフルネスの要素もあり、コラボレーションに基づいた学習を行っています。コミュニティに配置された自分や他の人を振り返る。また、「ラーニング・ジャーニー」と呼ばれる要素もあります。学期ごとに、システム学習、コミュニティ、自然に関連するものなどのテーマを選びます。数学、生物、歴史、地理などの伝統的な学習は、すべて10週間のテーマに沿って行われます。よし、今から歴史の授業をするぞ」と言うのではなく、歴史の授業は皆さんの学習の旅の中から出てきます。川や山、雲などについて学ぶこともあるでしょう。何を学ぶかということよりも、その内容を学ぶために身につけたスキルの方が重要である、というのは真理だと思います。
グリーンスクールは、コラボレーションによる学習が盛んに行われていますね。そういう意味では、2020年はどのように対応されたのでしょうか?
クリス:「簡単だったと言うつもりはありません。2つの分野についてお話します。まず、私たちはニュージーランドにいるので幸運でした。ロックダウンの期間が非常に短かったのです。オークランドを除けば、昨年はニュージーランド全土がほぼ通常通り稼働していました。グリーン・スクールに来ているニュージーランド人にとっては、普段通りの生活を送ることができました。通常のカリキュラムをこなしていました。しかし、留学生にとっての状況は、全く違うものでした。国境封鎖される前に入学した留学生は数人いましたが、国境が閉鎖された後は、留学生とその家族は学校に来ることができませんでした。私たちは、その留学生のためにオンラインでのプログラムを提供せねばなりませんでした。私たちはオンラインで学校のストーリーを提供し、サンプル授業などを共有しましたが、グリーンスクールlはオンラインで行える学校ではありません。その場にいなければ得られないものが沢山あります。私たちは顔と顔を合わせることを大切にしています。携帯電話の持ち込みも禁止しているので、オンラインで教えられるというのはコンセプトと異なります。2020年のオンライン対応はとても難しいことでした。」
インタビューあとがき
クリスさんとは、教科ごとに授業を行うのではなく、子供たちとのやり取りやそのときの授業テーマから各教科を学ぶというホリスティック・ラーニングの話題で盛り上がりました。算数の時間、理科の時間、というのではなく、川、というテーマから算数、理科、社会を学ぶ。GKの工作アクティビティもそういう観点でつくられているお話をしたらとても興味をもってくださいました。
インタビュー&記事:満木 夏子